Japanese
English
解説
拡張型心筋症におけるβ遮断薬療法
β-Blocker therapy for chronic heart failure in patients with dilated cardiomyopathy
堀 正二
1
,
鍵谷 俊文
1
,
佐藤 秀幸
1
,
北畠 顕
1
Masatsugu Hori
1
,
Toshifumi Kagiya
1
,
Hideyuki Sato
1
,
Akira Kitabatake
1
1大阪大学医学部第一内科
1The First Department of Medicine, Osaka University Medical School
pp.1203-1209
発行日 1990年12月15日
Published Date 1990/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910059
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1975年から1980年にかけスウェーデンのWaagste-in,Swedbergらのグループは,心不全には禁忌とされている交感神経β受容体遮断薬を重症の拡張型心筋症(DCM)患者に長期投与したところ運動能力,心機能及び生命予後が改善したという,逆説的な一連の報告を行った1-4)。その後,いくつかのグループにより,少なくとも一部の拡張型心筋症患者においては,β遮断薬の長期投与により臨床的改善が認められることが追試,確認され,β遮断薬療法は拡張型心筋症を始めとする慢性心不全の有力な治療法の一つと見なされるようになった5,6)。最近では有益な長期効果の発現機序が検討され,また心不全に対するβ遮断薬療法の妥当性を理論的に説明する成績も集積しつつある。
しかし,慢性心不全患者では交感神経活性の亢進が不全心の機能を代償しているため,β遮断薬投与で心不全を悪化または顕在化させることがあるのも事実であり,薬剤の注意書には心不全に禁忌であることが記されている。
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