Japanese
English
解説
自己免疫機序による肺高血圧症
Pulmonary hypertension due to autoimmune mechanism
国枝 武義
1
Takeyoshi Kunieda
1
1国立循環器病センター内科
1Cardiopulmonary Division, Department of Medicine, National Cardiovascular Center
pp.1193-1201
発行日 1990年12月15日
Published Date 1990/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910058
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
近年の自己免疫疾患(autoimmune disease)に関する研究の進歩から,膠原病を始めとして自己免疫疾患にみられる肺高血圧症が注目を集めるようになった。これらの疾患で肺高血圧症が発症したものでは,その肺高血圧は進行性で,きわめて予後が悪いことが明らかとなった1)。これらの肺高血圧は自己免疫機序による肺高血圧症と考えられるが,その発症機序の詳細と進展要因が依然不明であり,治療と対策は全く立てられていないのが現状である。一方これら他疾患の合併を認めない原因不明の肺高血圧とされる原発性肺高血圧症についても,約30%の割合で,レイノー現象2)あるいは高γグロブリン血症3)など何らかの免疫異常を伴うことが明らかにされている4)。さらに最近の研究をみても,自己免疫機序の代表的血清反応とされる抗核抗体が原発性肺高血圧症の40%5)あるいは29%6)にみられたとの報告がなされている。いずれにせよ自己免疫機序による肺高血圧症の発症は動かぬ証拠としてあげられてきており,その病因,病態,治療に関する今日のレベルでの知見について述べてみたい。
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.