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Bedside Teaching
抗喘息薬の定期吸入
Regular inhalation therapy with antiasthmatic agents
中島 明雄
1
Akio Nakashima
1
1済生会下関総合病院呼吸器内科
1Department of Pulmonary Medicine, Saiseikai Shimonoseki General Hospital
pp.981-987
発行日 1990年10月15日
Published Date 1990/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910025
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気道へ薬物を投与する方法としては経口投与,経静脈的投与,坐薬などの全身的投与に加えて経気道的投与がある。気管支喘息に対するエロゾルなどの吸入療法は気道に対する局所療法であるために,全身的投与法に比較して少量の薬剤で効果が認められ1,2),副作用が少なく,最も理想的な効果/副作用比を得ることが可能である3)。例えば,β2受容体刺激剤の気管支拡張効果はエロゾルによる吸入療法のほうが同一薬剤の経口投与や他の全身的投与による場合より投与量は少なく気管支拡張効果はより速効的である1〜3)。またエロゾル吸入はEIA(運動誘発喘息)を予防するが,経口剤は無効である4)。さらに,エロゾルによる治療では投薬量が少ないために手指振戦,動悸,心臓頻拍,四肢の筋肉痙攣などの副作用が少ない5)。したがって,気管支喘息の治療にはエロゾル吸入療法は最も重要な治療法である6)。近年では気管支喘息に対する吸入療法の臨床的応用の面でも急速な進歩や変化が認められる。現在,本邦で使用可能な吸入性選択的β2受容体刺激剤,吸入性ステロイド剤,吸入性抗コリン剤,吸入性抗アレルギー剤などはいずれも喘息発作の予防を主眼とした定期吸入療法が主流である。特に,1960年代より主として発作の頓挫に用いられてきたβ受容体刺激性エロゾルも軽症の通年性喘息患者に対しては,定期吸入療法が導入されその臨床的効果が報告されている7,8)。
定期吸入療法は,薬物の投与なしでは季節を問わず通年性にほぼ毎日発作を生じ,無症状期間が1カ月継続しない慢性気管支喘息患者9),あるいは通年型患者に対しての発作の予防に主眼を置いた長期管理法である。
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