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特集 気管支喘息の新しい視点
喘息治療における抗アレルギー薬の有効性
Clinical Role of Antiallergic Drugs in the Treatment for Bronchial Asthma
中島 明雄
1
Akio Nakashima
1
1済生会下関総合病院呼吸器内科
1Department of Pulmonary Medicine, Saiseikai Shimonoseki General Hospital
pp.873-878
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900341
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はじめに
喘息治療薬としてβ受容体刺激薬,メチルキサンチン製剤,コリン受容体拮抗薬,抗アレルギー薬,ステロイド薬などがわが国では市販されている1).β受容体刺激薬は肥満細胞の細胞膜安定化作用を有し,脱顆粒抑制作用を示す2)が通常は抗アレルギー薬には含まれない.Kay3)によれば抗アレルギー薬とは肥満細胞からのIgE依存性化学物質遊離の阻害作用を主目的として開発された薬剤を言うとのことである.
本邦では1971年にクロモグリク酸(disodium cromoglycate DSCG,インタール)が臨床に導入されて以来,1991年にはすでに12種類の抗アレルギー薬が発売され,さらに11種類の臨床治験が進行中である.その使用量は年々増加を示し,喘息以外のアレルギー性疾患に対しての使用を含めた統計ではあるが,1989年では売り上げ金額にして喘息治療薬の総額の61%を占めるに至っている(図1).他方,欧米では喘息治療の重要な位置づけを与えられている吸入用β刺激薬,吸入用ステロイド薬の使用量は緩やかな増加傾向を示すものの,使用量はいまだ少なく,欧米諸国の喘息治療薬の使用パターンとは際立った相違を示している(表1)4).
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