今月の主題 呼吸不全の臨床
急性呼吸不全・慢性呼吸不全急性増悪の臨床
酸素吸入のすすめ方
池田 賢次
1
,
中島 明雄
1
1済生会下関総合病院・呼吸器内科
pp.754-756
発行日 1990年5月10日
Published Date 1990/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900187
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●呼吸不全の定義
酸素は生体内でミトコンドリアがエネルギーを産生する組織呼吸に必要である.笹本1)の定義によれば,呼吸不全とは“肺本来の作用であるガス交換の障害のため,血液ガス,とくにO2とCO2が異常な値を示し,それがために生体が正常な機能を営み得なくなった状態”とされ,種々の病態よりなる総称である.
組織への酸素供給の指標としてもっとも優れているのは混合静脈血酸素分圧(PVO2)であるが2),肺動脈からの採血が必要であるためルーチンには用いられていない.臨床的には組織酸素供給の判定は,PaO2(60 Torr以下),症状,身体所見,運動能力,意識状態などより総合的に判断されている.
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