今月の主題 呼吸不全とその管理
呼吸不全の治療
吸入療法の適応と実際
中島 明雄
1
,
池田 顕彦
1
1済生会下関総合病院・呼吸器内科
pp.606-607
発行日 1987年4月10日
Published Date 1987/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220886
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気管支喘息重症発作時や慢性閉塞性肺疾患の気道閉塞による呼吸不全の治療は,ジェットネブライザーによるβ2刺激剤エロゾル吸入が有効である.心疾患などの禁忌がなければ,成人にはテルブタリン(ブリカニールR)2〜3A(0.4〜0.6mg)あるいはサルブタモール(ベネトリンR)吸入液1〜2ml(5〜10mg)をそのまま,もしくは生理食塩水1〜2mlに希釈して用いる.効果があれば1時間後に吸入をくり返し,以後症状に応じて2〜4時間毎にくり返し吸入させる.
一般に吸入療法は,気道閉塞を主症状とする疾患を対象にβ2刺激剤,抗コリン剤,ステロイド剤,去痰剤などを経気道的に投与する局所療法で,経口投与や経静脈的投与と比較して,投薬量の減量と迅速な効果の発現を期待し得る利点がある.他方,吸入の巧拙や機種によって薬剤の肺内吸入量や沈着部位が異なり,気道粘膜を刺激し気管支喘息発作を誘発することがある.また,ネブライザーが感染源になることがあるなどの欠点を有する.
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