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はじめに
1953年にEdler,Hertzにより心臓超音波装置(心エコー図装置)が開発されてから半世紀が経った.当時Edlerは,循環器診断法の花形がX線写真や心カテーテル法だったことから,何か患者にやさしい診断法はないかと,魚群探知などに実用化されていた超音波法の人への応用を思い立ったとされる.この「無侵襲」を追求する精神は21世紀の現在大きく注目されているところであり,彼らが半世紀前にすでにこのような目標を持ち,そして心エコー図法の開発を実現した事実は驚くべき,かつ大きな功績といえる.
当初の心エコー図法はA-mode法であったが,M-mode法の開発により心臓の構造や動きを捉えることができるようになった.次いで断層法が実現し,以後各種ドプラ法の発達とつづき,超音波法は今や循環器診断装置として欠かすことのできない重要な検査法となり,広く日常診療に用いられている.
近年ではコントラストエコー法,組織ドプラ法,3次元心エコー図などの新たな技術が加わり,またドプラ法の発達によって心エコー図では不可能と思われていた冠血流への直接アプローチが現実化してきて,心エコー図の機能,つまり「できること」は急速に広がってきている.
その一方でこれまでの心エコー図装置には,誰もが求める「いつでも,どこでもできる」という手軽さが欠けており,高性能装置の開発がますます装置を大きくするというジレンマに陥っていた.一昨年,満を持して登場したハンドヘルド心エコー図装置は,心エコー図の原点である基本機能のみを搭載しポータブル性を追求したことで,高性能装置とはまったく違うフォーカスエコーというコンセプトを生み出し,心エコー図法に新たな革命を引き起こした.
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