巻頭言
呼吸器感染症を背景に
小林 宏行
1
1杏林大学医学部
pp.655
発行日 2002年7月15日
Published Date 2002/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902495
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1959年,インターンを終えた私は今の医科学研究所内科学の北本治教授の門下に入れていただいた.その年の10月,はじめて一人立ちの主治医として担当した患者は発熱を主訴に来院した若い男性であった.当時のことで,喀痰の塗抹標本を自分で行い,チールネルゼン染色で赤く染まった桿菌—結核菌—をはじめてみた.これが人類を悩ませていた結核の病原体かと,なぜか深い感動に浸ったことを覚えている.若く多感な時期であったろう.
以来,呼吸器感染症の道をたどってきた.肺結核患者が次々と肺性心で亡くなるのをみて,右室の筋線維を測定したり,結核の化学療法や耐性菌のことなど勉強させていただいた.とくに前者では「呼吸と循環」には大変お世話になった.とにかく夢中であった.
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