特集 感染症の予防と管理
呼吸器感染症
佐々木 英忠
1
,
中山 勝敏
1
,
鎌仲 正人
1
,
樋口 真人
1
1東北大学医学部附属病院老人科
pp.177-181
発行日 1998年3月15日
Published Date 1998/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901784
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はじめに
呼吸器はいわゆる内臓という臓器の中で大気を直接吸い込むことから環境に最もさらされている唯一の臓器である.このため大気中の汚染物質を直接吸い込んで気管支喘息をおこすとか,かぜのウイルスを吸い込んでかぜになるとか,結核菌を吸い込んだり,ありとあらゆる呼吸器感染が発症しうる.
在宅介護は主に高齢者を対象にするが,在宅では大気の影響といっても,あまり大勢の人達の中には入っていくこともなく,むしろ室内,または自宅近くの天気のよい日の散歩といった位で,いきなり特別なウイルスや細菌を吸い込むことも少ない.むしろ,高齢者自身の内部で成立する感染,すなわち,口腔内雑菌を気管へ誤って飲み込む(これを誤嚥という)とか,胃液を食道の上まで逆流させ(これを胃食道逆流現象という),更に気管へ飲み込む(誤嚥)ことによりおこる肺炎(これを誤嚥性肺炎という)が一番頻度も高いし,死亡する場合も多い.本項では誤嚥性肺炎を中心に対策を述べる.
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