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特集 呼吸器疾患難治化の要因
呼吸器感染症—その難治化要因をめぐって
Pathogenesis of Interactable Respiratory Infection
小林 宏行
1
Hiroyuki Kobayashi
1
1杏林大学医学部第一内科
1The 1st Department of Internal Medicine Kyorin University School of Medicine
pp.3-11
発行日 1993年1月15日
Published Date 1993/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900595
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はじめに
感染症の難治化に関する記述をみると,細菌側因子,宿主側因子などに分けて一見整然と記載されているものが多い.そして前者では耐性菌の問題が,後者では免疫不全や形態学的変化などの問題があいもかわりなく記載されており,それ以上のことに言及した文献はまず見当らない.しかしながら,難治化という事象を一歩深く考えてみると,これら各因子自体はすべてが何らかの意味で相互に関連しているものであり,感染症の場合は微生物侵入という前提を背景にした“microbe-host cell interactionとその異常”という現象で説明できるようである.もちろん,この考え方の全貌が明らかにされたわけではないが,このような思考は実際の臨床症例の病態を把握するうえで基本的には誤りはないようである.幸い編集担当の川上教授からこのテーマを与えられたのを機会に,今日まで教室の成績を中心にこのような角度から著者の考えをまとめてみたい.
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