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Bedside Teaching
β遮断薬Carvedilolによる心不全治療
Treatment with Carvedilol in Heart Failure Patients
半田 俊之介
1
Shunnosuke Handa
1
1東海大学医学部循環器内科
1Section of Cardiology, School of Medicine, Tokai University
pp.509-517
発行日 2002年5月15日
Published Date 2002/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902473
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はじめに
慢性心不全患者の治療に交感神経β受容体遮断薬が有用とされる.β遮断薬は,その薬理作用により心拍数減少,心収縮性低下を来し心筋酸素消費量を抑制する.一般に末梢血管抵抗を増大する.従来の適応は高血圧症,不整脈および虚血性心疾患であった.近年行われた大規模無作為二重盲検臨床試験の成績は,左室収縮機能障害による慢性うっ血性心不全症例にβ遮断薬を長期間慎重に投与すると症候改善および生命予後の延長を来すことを明らかにした.β遮断薬の治療適応が普遍化した1).しかしわが国では,なお心不全のβ遮断薬療法は禁忌とされている.
このように従来の心不全治療の常識を打ち破る突破口は,すでに四半世紀前のWaagsteinらによる報告である2).わずか9症例であるが,頻拍を伴ううっ血性心筋症にβ遮断薬を投与し,自覚症状,運動耐容能,左室収縮動態の改善を得た.以来,この薬剤の有用性の有無について数多くの報告がみられる3).1990年代に入るとcarve—dilol, metoprolol, bisoprolol, buchindololによる大規模無作為二重盲検臨床試験が相次いで行われ,臨床的な有用性の根拠が確立した.なかでもcarvedilolの有用性について幅広い検討が精力的に行われてきた.
本稿では,β遮断効果のある薬剤のなかで特異な薬理作用を示すcarvedilolについて,その心不全治療に関わる従来の知見を集約したい.
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