トピックス 睡眠時無呼吸症候群
睡眠無呼吸症候群の病態
高崎 雄司
1
,
太田 保世
1
1東海大学医学部第2内科学教室
pp.673-679
発行日 1989年9月20日
Published Date 1989/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200399
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I.はじめに
世界的にみれば,最近の約20年間に睡眠時の呼吸障害に関する研究が積極的に行われ,睡眠時の呼吸障害が呼吸器疾患分野の中心的研究テーマの一つになってきたといっても過言ではない。そしてこの間,睡眠無呼吸症候群は睡眠時の呼吸障害の病態の解明や治療法の開発が飛躍的に進み,今日に至っている。しかしながら睡眠呼吸障害に関するいくつかの疑問点がいまだ解決されずに残っていることも事実である。その一方で,北米では年間10万人もの患者が睡眠無呼吸症候群と診断され,そのうちの約半数である5万人に対し本症に対する治療が行われている1)。しかし睡眠呼吸障害研究会の集計(全国30施設)によれば,現在までの数年間で本邦で本症候群と診断した症例数はわずか約800人にとどまっている。この原因の一つに,北米とわが国との間の食生活習慣の相違があるが,実際に臨床に携わりこれら患者と接する機会を有する医師の,睡眠無呼吸症候群に対する関心のなさが主因となり,診断されるべき症例が診断されずにいる可能性が強い。
本章では本来われわれ臨床の場で頻繁に接する可能性がある睡眠無呼吸症候群の病態について,最近の知見を中心に述べてゆく。
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