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特集 循環器系薬剤の新しい視点—検証と展望
コレステロール低下薬(スタチン)
Effective use of Statins to Prevent Coronary Heart Disease
馬場 彰泰
1
,
赤石 誠
1
Akiyasu Baba
1
,
Makoto Akaishi
1
1北里研究所病院循環器内科
1Department of Cardiology, Kitasato Institute Hospital
pp.133-137
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902420
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高コレステロール血症の治療は虚血性心疾患の一次および二次予防において不可欠である.本邦においても約5万人の患者を対象としたJ-LIT(Japan Lipid Intervention Trial)1)の結果,一次予防として総コレステロール値240mg/dl以下,LDL-C値160mg/dl以下,HDL-C値は40mg/dl以上,二次予防ではLDL-C値120mg/dl以下,HDL-C値40mg/dl以上が一つの治療目標となる可能性が示唆された.
HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)を用いた積極的なコレステロール低下療法により,急性冠動脈症候群acute coronary syndromeの発症抑制,および動脈硬化病変の進行抑制が可能であることが過去の大規模研究の結果から明らかにされてきた.しかし,コレステロール値をどこまで下げるか,薬物療法の適応症例をどこまで拡大するかなどの問題については,単にその介入が科学的に生命予後あるいは病態予後を改善するとしても,その改善に対して支払われる社会資本を勘案しなくてはならず,簡単な問題ではない.そこで,最近では1件の心血管イベントを回避するために何名の患者が介入を受けたか(薬剤を服用したか)という議論が盛んに行われるようになった(絶対リスクの概念).
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