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Current Opinion
抗酸菌感染症の遺伝子診断—宿主易感染性規定因子NRAMP1について
Genotype Analysis of Host Susceptibility to Mycobacterial Infection
吉田 勉
1
,
岸 文雄
1
Tsutomu Yoshida
1
,
Fumio Kishi
1
1山口大学遺伝子実験施設
1Center for Gene Research, Yamaguchi University
pp.909-913
発行日 2001年9月15日
Published Date 2001/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902351
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抗酸菌をめぐる最近1年間の話題
結核は単一感染症病原体として,世界で最も死亡率が高く毎年300万人もの死亡者を出している.特に,結核罹患率が低い先進国においても都市部特有の問題を抱えており,都市部での公衆衛生学的対策が強く求められている.わが国においては,1999年7月に結核緊急事態宣言が出され,それを受けて2000年9〜12月に結核緊急実態調査が実施された.2001年3月にその実態調査報告書が厚生労働省より提出され,結核対策の基礎資料を利用することができるようになった.さらに,学術審議会特定研究推進分科会バイオサイエンス部会感染症・免疫研究推進小委員会の答申(2000年12月)にもあるように,結核においてもゲノム情報をもとに細菌側と宿主側の相互関係の系統的理解とともに,感染や発病リスクの診断技術や予防ワクチン開発を含む個別予防の重要性が提言されている.
本稿においては,その基礎資料および結核予防会より発行された「結核の統計2000年版」1)から,最近の結核の現状について前半に簡単に解説する.後半には宿主側の易感染性規定因子として,その役割が明らかとなった自然抵抗性関連マクロファージ蛋白1(Natural resistance associ—ated macrophage protein 1,NRAMP 1)と結核との関連性について,発見の経緯からわれわれの最近の知見を交えて解説する.
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