Japanese
English
Current Opinion
急性心筋梗塞—Acute Coronary Syndromeの病態と治療
Current Perspectives of Acute Coronary Syndrome
東方 壮男
1
,
山岸 正和
1
Takeo Higashikata
1
,
Masakazu Yamagishi
1
1国立循環器病センター内科心臓部門
1Division of Cardiovascular Medicine, National Cardiovascular Center
pp.915-921
発行日 2001年9月15日
Published Date 2001/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902352
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■急性心筋梗塞をめぐる最近1年間の話題
冠動脈血流が途絶し,心筋の一部ないし全部に不可逆的な壊死が進展すると,臨床的に心筋梗塞として認識される.急性心筋梗塞症においては可及的早期に冠動脈血流を再開し,心筋壊死範囲を最小限にとどめることにより,急性期・慢性期とも予後が著しく改善することが最近の積極的治療の成績から明らかにされてきた.しかしながら,例えば血管形成術における再狭窄など検討すべき問題点も多い.これは一つには従来,発症の基盤となる動脈硬化粥腫での細胞生化学に関する知見が治療と密接に連関していなかったことも一因すると思われる.
急性心筋梗塞や不安定狭心症は急性冠症候群とたて一括呼称されるが,それは,発症の背景に冠動脈硬化粥腫の破綻とそれに引き続く血栓形成が共通たて存在するとの考えに基づく1〜3).したがって,冠動脈硬化粥腫の破綻の仕組みを解明し,続発する血栓形成との連関を明らかにすることが可能となれば,急性冠症候群のより有効な治療法への展望が開ける可能性がある.
本稿では,急性冠症候群に関する最近の話題を総括し,予防・治療を展望してみたい.なお,心筋梗塞発症後における心筋壊死やそれに伴うポンプ失調へのアプローチについては,本稿では取り扱わない.
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