特集 耳鼻咽喉科と感染症
III.各種感染症—診断から治療の実際まで
抗酸菌感染症
青柳 昭雄
1
Teruo Aoyagi
1
1国療晴嵐荘病院
pp.805-810
発行日 1980年10月20日
Published Date 1980/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209152
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I.はじめに
わが国の昭和53年の結核死亡率は10万対7.2で1年間に8,258人が死亡している。最高の死亡率を示した明治43年の10万対224.2に比すれば激減したことは明らかであるが,諸外国に比すればなおオランダの6倍,スウェーデンの約4倍で,10年以上の遅れがみられている1)。
一方,昭和53年1年間に新たに新登録された結核患者は80,629人,人口10万対70.0であり,この数も年々減少しているが,このうち感染性患者が31.5%を占めており,全国で約30万大の要医療結核患者が登録治療されていることを考慮すれば,結核症は伝染性疾患のうちではもとより,呼吸器疾患のなかでも臨床家がかなり遭遇する機会の多い疾患であるといい得る。
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