Japanese
English
特集 心肺疾患における抗血栓療法
易血栓性の危険因子
Thrombogenic Risk Factor for Heart Disease
是恒 之宏
1
,
黒飛 俊哉
2
Yukihiro Koretsune
1
,
Toshiya Kurotobi
2
1国立大阪病院循環器科
2大阪大学医学部第一内科
1Department of Cardiology, Osaka National Hospital
2First Department of Medicine, Osaka University Faculty of Medicine
pp.737-741
発行日 1998年8月15日
Published Date 1998/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901736
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はじめに
心房細動は脳梗塞をはじめとする塞栓症の原因として非常に多くの割合を占める,また,心房細動に限らずとも多くの心疾患において抗血栓療法の積極的な施行が予後改善に有効であることが明らかとなっている.抗血栓薬を使用するにあたり,血栓形成メカニズムおよび薬物の作用機序を十分に理解することは,随伴する合併症の予防においてもきわめて重要である.
血栓の形成原因として,従来よりVirchowのtriad,すなわち1)血管壁の性状の変化,2)血液成分の変化,3)血流の変化,が互いに密接にからみあっていることが知られている.この概念は,さまざまな分野で研究がすすめられている現在においても高く評価されている.血液は通常流動性を維持し,心腔内,血管内を流れており体内で凝固することはないが,病的状態では血栓が生じ血流を途絶させたり,塞栓により他の臓器障害を惹起させたりする.
本稿では,血管内および心腔内の血栓形成メカニズムとその危険因子につきVirchowのtriadの面より各因子別に考えてみる.
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