Japanese
English
綜説
体内における一酸化炭素(CO)産生とその役割
The Production of Carbon Monoxide in vivo and its Physiological Role
坂本 篤裕
1
Atsuhiro Sakamoto
1
1日本医科大学麻酔科
1Department of Anesthesiology, Nippon Medical School Hospital
pp.771-780
発行日 2001年8月15日
Published Date 2001/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902331
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はじめに
大気汚染や喫煙による傷害の原因としての一酸化炭素(CO)は古くから認識され,生体への毒物として多くの研究がされてきた.一方,生体内でもヘムの代謝に伴い,COが発生することは1950年には知られていたものの1),単なる代謝産物として見過ごされてきた.1980年代にガス状モノオキシドである一酸化窒素(NO)が血管内皮細胞由来弛緩因子と同定され,血管緊張調節のみならず,生体内で多彩な生理活性を有することが次々と確認されるに至った2).COもNO同様に酸素添加反応により生じる低分子のガス状モノオキシドであるが,その生理学的役割に関心がもたれたのは,1991年にMarksらが“Dose carbonmonoxide have a physiological function?”なる論文3)を発表してからである.この質問に対して,COがNO同様にグアニリルシクラーゼに結合し,活性化させるとの肯定的な論文が多く発表され4,5),血管系,神経系,免疫系をはじめ多くの領域で関心を呼び,さらに生体内発生COを中心にした臨床研究も行われるようになってきた.
本稿では,生体内でのCO発生とその役割およびその臨床との関連につき,NO発生系との比較とともに再考する.
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