巻頭言
残念に思うこと
松岡 博昭
1
1獨協医科大学循環器内科
pp.723
発行日 2001年8月15日
Published Date 2001/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902324
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日本高血圧学会は2000年に高血圧治療ガイドライン(JSH 2000)を発表した。この詳細については昨年の本誌の巻頭言に札幌医大の島本教授が述べておられる.
血圧は身長や体重と同じく連続性の分布を示すので高血圧の診断基準は人為的に決められている.したがって,エビデンスの集積により診断基準も時代とともに当然異なってくる.最近では健常人では血圧は低いほど心血管合併症の頻度は低いことが疫学研究で明らかにされ,欧米の主なガイドラインでは数年前から140/90mmHg以上を高血圧と定義している.JSH 2000以前の本邦の高血圧治療は欧米のガイドラインを参考にしていたので,高血圧を診療している医師にとっては以前より140/90mmHg以上が高血圧であった.JSH 2000の作成にあたり,高血圧の診断基準が欧米と本邦で異なると混乱を招くこと,また,本邦の疫学研究の成績も欧米のガイドラインの診断基準を支持するものであることよりJSH 2000でも140/90mmHg以上を高血圧とした.
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