Japanese
English
特集 耐性菌呼吸器感染症の現状と治療
ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
Penicillin resistant Streptococcus pneumoniae
和田 光一
1
,
桑原 克弘
1
,
宮尾 浩美
1
,
渡辺 靖
1
Koichi Wada
1
,
Katsuhiro Kuwabara
1
,
Hiromi Miyao
1
,
Yasushi Watanabe
1
1国立療養所西新潟中央病院内科
1National Nishi-Niigata-Chuou Hospital, Internal Medicine
pp.725-729
発行日 2001年8月15日
Published Date 2001/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902325
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はじめに
肺炎球菌は,一部のヒトの鼻咽喉などの上気道に常在するグラム陽性球菌であり,主に経気道的に感染し,肺炎などの下気道感染症を起こす.幼児,高齢者や免疫不全例および成人でも治療が遅れると敗血症や髄膜炎を起こし,予後不良となる.
市中肺炎の起炎菌は肺炎球菌による頻度が最も高く,過去は90%以上1),現在でも30%以上を占めていると考えられている.呼吸器感染症では,肺炎球菌はインフルエンザ菌と同時に分離されることも多い.一方,耳鼻科領域においても急性中耳炎,反復性難治性中耳炎からの細菌分離頻度は,インフルエンザ菌と並んで肺炎球菌による頻度が高く,35〜49%を占めている.
肺炎球菌は病原性が高いが,ペニシリン薬が開発されてから早期に治療を開始すれば,肺炎球菌感染症の治療は比較的容易であった.しかし,1970年代欧米においてはペニシリン耐性肺炎球菌の問題が盛んに論議されるようになった.本邦でも1990年代より,ペニシリン耐性肺炎球菌の増加が明らかとなり,現在では半数以上を占めるようになったため,呼吸器感染症などの治療に大きな影響を与えている.
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