今月の表紙 臨床微生物検査・4
ペニシリン耐性肺炎球菌
八田 益充
1
Masumitsu HATTA
1
1東北大学大学院医学系研究科感染制御・検査診断学分野
pp.362-365
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101585
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肺炎球菌はヒトの鼻咽頭に常在しているが,肺炎や気管支炎,副鼻腔炎,中耳炎などの広義の気道系感染症のほか,敗血症や髄膜炎などの致死的感染症の原因としても重要である.菌体の最外側にある莢膜多糖体の抗原性により,90の血清型に分類されている.
グラム染色では,グラム陽性の双球菌あるいは短い連鎖状の球菌として認められる.肺炎球菌感染症におけるグラム染色の有用性は高く,良質の検体において,多数の多核好中球とともにこのような菌を認め,貪食像が確認できる場合,肺炎球菌による感染症の可能性が極めて高い.ある報告では,血液培養が陽性となった肺炎球菌性肺炎患者において,抗菌薬投与前の良質な喀痰のグラム染色の感度は80%であった(喀痰培養の感度93%)1).肺炎球菌による髄膜炎では,髄液グラム染色の感度は90%であった2).肺炎球菌性肺炎患者におけるグラム染色の一例(治療前,治療後)を図1に示す.
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