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Bedside Teaching
原発性肺高血圧症に対するプロスタサイクリン持続静注療法
Continuous Intravenous Prostacyclin Therapy for Primary Pulmonary Hypertension
京谷 晋吾
1
Shingo Kyotani
1
1国立循環器病センター内科心臓肺循環部門
1Division of Cardiology, Department of Medicine, National Cardiovascular Center
pp.681-685
発行日 2001年7月15日
Published Date 2001/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902318
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はじめに
原発性肺高血圧症は原因不明の肺高血圧症と定義される疾患で,生命予後が極めて不良であり,平均生存期間は約3年とされている1).本症では肺血管系の血管抵抗が著しく増大しており,その結果,増加した右室負荷が心不全をもたらし死に至る.組織学的には肺動脈中膜の筋性肥大,求心性内膜肥厚線維化が認められる.plexiformlesionと呼ばれる側副血行による再疎通と思われる新生血管が入り組み複雑な像を呈する病変がみられるが,認められない症例もある.アセチルコリンが原発性肺高血圧症において肺血管抵抗を低下させるなどの知見から,本症に肺血管の攣縮が関与していると考えられた.すなわち,本症では肺血管の器質的変化による不可逆的な狭窄と可逆的な血管攣縮により肺血管抵抗が増加していると考えられている.また,剖検や生検において微小血栓を認めることもあり,本症の進行過程に肺動脈微小血栓の関与が推定されている.
こうした病態への理解に基づいて次のような治療が行われている.すなわち,1)肺または心肺移植,2)血管拡張療法,3)抗凝固療法,4)補助療法である.本稿ではそのうちの血管拡張療法に分類されてきたプロスタサイクリン治療について述べるが,本剤の効果は従来の血管拡張剤とは一線を画するもので,血管拡張療法としてよいかどうか不明な点がある.
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