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特集 肺高血圧症の最近の治療
肺高血圧症に対するプロスタサイクリン療法
Continuous Intravenous Prostacyclin Therapy for Pulmonary Arterial Hypertension
京谷 晋吾
1
Shingo Kyotani
1
1国立循環器病センター心臓血管内科
1Division of Cardiology, Department of Medicine, National Cardiovascular Center
pp.865-871
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100711
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はじめに
肺高血圧は肺動脈圧が異常に増加した病態である.その病態は生理学的に肺動脈性(前毛細管性)と肺静脈性(後毛細管性)に分類される.後者は肺静脈そのものの循環障害であったり,僧帽弁狭窄症のような左心系弁膜疾患や心筋症のような左室の流入障害による左室拡張期圧の上昇に伴う病態である.それに対して前者は肺動脈そのものの循環障害で,原発性肺高血圧症に代表されるような肺動脈の狭窄閉塞,あるいは肺塞栓症などの肺動脈閉塞による血管抵抗の増加によって生じる.
本稿では特に肺動脈性肺高血圧症,なかでも原発性肺高血圧症に対するプロスタサイクリン持続静注治療を中心に,その在宅管理についても述べる.
こうした肺動脈性肺高血圧は種々の膠原病においてもみられ,組織学的に原発性肺高血圧症と類似している.1998年に旧厚生省MCTD研究班により行われた調査では,MCTDの5.02%,全身性エリテマトーデスの0.90%,強皮症の2.64%,PM/DMの0.56%にみられた1).頻度は多くないが,罹患した場合の生命予後が極めて不良であることを考えると,早期に的確な診断を行い適切な治療を行うことが重要である.膠原病性肺高血圧症例にもプロスタサイクリン持続静注治療が行われ効果をあげている.
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