Japanese
English
Current Opinion
肺移植生体肺移植の現況
Current Status of Living donor Lobar Lung Transplantation
伊達 洋至
1
,
青江 基
1
,
清水 信義
1
Hiroshi Date
1
,
Motoi Aoe
1
,
Nobuyoshi Shimizu
1
1岡山大学医学部第2外科
1Department of Surgery II, Okayama University School of Medicine
pp.471-475
発行日 2001年5月15日
Published Date 2001/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902288
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肺移植をめぐる最近1年間の話題
日本における肺移植は最近1年間で大きな発展を遂げた.1998年10月に岡山大学において,日本で初めての両側生体部分肺移植が成功した1).その後,2000年に入るまで肺移植の施行例がなかったが,2000年3月に待望の脳死者からの肺移植が大阪大学2)と東北大学3)で成功したのを契機に,急速に施行数が増加した.2001年2月現在までに11例(脳死ドナーからの片肺移植5例,両側生体部分肺移植6例)が施行され,全例が生存中である(表1).日本における肺移植が欧米と異なる点は,その適応疾患4)と生体部分肺移植の占める比率にある.欧米では,肺移植適応疾患のなかで肺気腫や嚢胞性肺線維症が多いのに対して,日本では肺リンパ脈管筋腫症,特発性間質性肺炎,原発性肺高血圧症が多い.生体移植が脳死移植に先行するのは,生体肝移植にもみられる現象で,ドナー不足が深刻な日本の特徴といえよう.
一方,欧米においては肺移植の施行数は10,000例を超え5),さまざまな末期肺疾患に対する治療法として確立されている.年間約1,200例が世界各国で施行され,片肺移植と両肺移植がほぼ同数である.ドナー不足のために1994年頃から施行数は頭打ちである.その5年生存率は50%弱であり,1992年以降あまり改善されていない.これは,慢性拒絶反応が原因とされているbron—chiolitis obliterans(BO)のよい治療法がないからである.
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