Japanese
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特集 ポスト・ゲノム時代における呼吸器疾患へのアプローチ
肺線維症へのアプローチ
Approach to the Pathogenesis of Pulmonanv Fibrosis in the Post-genome Era
林 清二
1
Seiji Hayashi
1
1大阪大学大学院医学系研究科分子病態内科学
1Department of Molecular Medicine, Course of Molecular Medicine, Osaka University Graduate School of Medicine
pp.137-142
発行日 2001年2月15日
Published Date 2001/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902237
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はじめに
遺伝子の機能解析へと重点が移行するポスト・ゲノム時代を迎えつつあるが,肺線維症の研究分野は,ゲノム時代の具体的な成果をまだ享受してはいない.したがって,肺線維症に関し「ポスト・ゲノム時代における…」というテーマでは近未来を予想する科学エッセーのようなもの(しかも私のような門外漢が書く,質の高くない)になってしまいそうな危惧がある.ただし,肺線維症の研究分野がゲノム時代の医科学研究の後塵を拝している,と消沈してしまう前に,気を取り直して物事を陽性に考えてみれば,今後最も進展の期待できる手つかずの沃野が眼の前に広がっているのだというのも,半面の真理である.たとえば特発性肺線維症(IPF)から「特発性」という修飾語を首尾よくはずすことができれば,すなわち病因を明らかにできれば,現在の技術レベルから直ちに原因療法に直結する実現可能なアイデアをあれこれ並べ立てることもできる.実際に最近見聞きするゲノム時代のデータの蓄積と技術的な進展は,難病でもcommon diseaseでも,病因と病態の解明を夢想させるに十分な明るい情報を提供してくれている.そこここに見られる近い将来の進展の萌芽を,呼吸器と近接する分野の文献で漁り,肺線維症研究の将来を(能天気な自然科学信仰に対する自重も含めて)私は考えてみたい.
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