医学と看護5月のテーマ
肺線維症
戸塚 忠政
1
,
望月 一郎
1
1信州大学医学部戸塚内科
pp.59-64
発行日 1967年5月1日
Published Date 1967/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913140
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はじめに
近年肺気腫,慢性気管支炎などが肺癌とともに私たちになじみの深い疾患となったが,さらに肺線維症に関しても,最近医家の間で特に関心が高まり,注目されるようになってきた。たとえば肺癌の外科手術後に放射線治療を行なうと放射線肺炎を起こし,やがて肺線維症に移行する。まれには乳癌の手術後の照射に際しても同様なことがいわれる。また最近では慢性気管支炎や珪肺を始めとする各種の塵肺症でも線維症に発展する場合のあることが知られているが,これらは一応原因のわかった肺線維症といえる。その他肺線維症と広く呼んでいる中にはさらに多くの疾患に続発するものがある一方,現在でもなお原因を明らかにすることのできない肺線維症が存在し問題を複雑にしている。したがって肺線維症の診断に際しても,その確診または成因の決定について臨床的に困難な場合が少なくない。
以下広く肺線維症に関してその概略をしるし,終わりに原因不明の肺線維症の症例を例示したいと思う。
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