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特集 ポスト・ゲノム時代における呼吸器疾患へのアプローチ
アレルギー疾患へのゲノム医学的アプローチ
Genomic Approach for Allergic Diseases
羅 智靖
1
Chisel Ra
1
1順天堂大学医学部アトピー疾患研究センター分子生物学研究室
1Division of Molecular Biology, Allergy Research Center, Juntendo University School of Medicine
pp.127-136
発行日 2001年2月15日
Published Date 2001/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902236
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はじめに
気管支喘息・花粉症・食事アレルギーやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の有病率は近年著しく上昇しており,特に先進工業国において総人口の30%にも及ぶと言われている.アレルギー疾患には家族集積性があり,明らかに遺伝的要因の関与を示しているが,アレルギー疾患患者数のこの異常な増加は,遺伝子のみでは説明不可能である.したがって,アレルギー素因をもつ人における,アレルギー顕在化を促進する何らかの環境因子や,環境との相互作用を考えざるを得ない.ヒトが自分自身の脳の産物として築いた文明あるいは環境に対して,不適応を来していることの警告の一つであるのかもしれず,早急に対応することを迫られているものと思われる.
本稿では,20世紀末に疾風怒濤のごとく展開したゲノム科学のなかで,アレルギー,特に気管支喘息の分子遺伝学的研究を概観して,われわれの研究の若干を紹介するが,ポストゲノムの研究に向けて何らかの示唆を与えることができれば望外の幸せである.
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