巻頭言
21世紀の肺癌
福岡 正博
1
1近畿大学医学部第4内科
pp.113
発行日 2001年2月15日
Published Date 2001/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902233
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わが国の死亡者の30%以上が悪性新生物で亡くなり,そのなかで最も多いのが肺癌である.1998年の肺癌の死亡者数は50,000人を超え,その数は年々増加し,2015年には100,000人を超えると予測されている.すなわち,肺癌対策は21世紀のわが国における国民的課題となることは確実である.
肺癌対策のなかでも喫煙対策が最も重要であることには議論の余地はない.欧米諸国においては,すでに1950年代に肺癌が悪性腫瘍死のトップとなり,その対策として強力な禁煙キャンペーンが繰りひろげられ,近年肺癌の死亡率が減少に転じている.これをみても,わが国における喫煙対策を急がなければならない.各種学会や団体において「禁煙宣言」や「禁煙運動」なるものが行われているにもかかわらず,わが国における男性の喫煙率は55%程度で,欧米先進国の2倍を超えている.さらに若年女性の喫煙者が増加しているとされる現状を打破するには国政レベルでの対応が必要と思われる.
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