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特集 不整脈—診断と治療のトピックス2000
心房除細動器
Atrial Defibrillator
熊谷 浩一郎
1
Koichiro Kumagai
1
1福岡大学医学部第二内科
1Department of Cardiology, Fukuoka University, School of Medicine
pp.1219-1224
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902203
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はじめに
心房細動は加齢とともに罹患率が増加するため,今日の高齢化社会ではますます増加の傾向にある.心房細動が存在するだけで死亡率が2倍に上昇するという外国の大規模試験の報告もある1).臨床上最も問題となるのは血栓・塞栓症の合併であり,年間3〜9%に脳塞栓を発症し,生涯発症危険率は36%とされている2〜4).心房細動を停止させる場合,薬理学的,あるいは電気的除細動を行うが,体外式電気的除細動は全身麻酔を要し,発作が頻回な場合は限界がある.
最近,心房細動が持続すればするほど心房の病態生化学的および電気生理学的変化(電気的リモデリング)が起こり,それが心房細動の持続や除細動後の再発の原因となることが実験的に証明された5).そのため心房細動はできるだけ早く停止させ,洞調律に戻すことが再発予防に重要である.そこで登場したのが心房細動を即座にしかも低エネルギーで除細動を行うことができる植込み型心房除細動器である.1974年Mirowskiら6)が心房性不整脈に対する低エネルギー経静脈的カテーテル通電のconceptを最初に提唱した.
1990年われわれ7)は,心膜炎犬モデルで心房細動を誘発し,経カテーテル心房内通電の効果を検討したところ,1J以下で70%除細動が可能であり,低エネルギーでの経カテーテル心房除細動が右効であることを報告した.その後.除細動閾値を下げるための電極リードの位置の工夫や安全性に関する研究が行われ,右房と冠静脈洞に留置した電極リード問での低エネルギー2相性ショックが最も有効であることが明らかとなり,今日製品化されるまでに至った.
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