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特集 不整脈—診断と治療のトピックス2000
肺静脈起源性心房細動の診断と治療
Diagnosis and Management of Focal Atrial Fibrillation Originating in the Pulmonary Veins
庭野 慎一
1
,
小島 時昭
1
Shinichi Niwano
1
,
Tokiaki Kojima
1
1北里大学医学内科
1Department of Internal Medicine, Kitasato University School of Medicine
pp.1213-1217
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902202
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はじめに
1.心房細動の臨床的意義
心房細動は臨床的に最も頻度の高い頻脈性不整脈であり,Framingham研究の報告によれば65歳以上では2〜4%の有病率に上るとされる1).心房細動の予後を規定する最大の要因は心房内血栓形成に伴う全身塞栓症であり,その予防のためには抗凝固療法を中心とした抗血栓療法が必須と考えられている2).心房細動に伴うリズム不整自体が重篤な状態を引き起こすことは稀であるが,心機能保持や脈不整に伴う不快感除去によるQOL改善の面からは,洞調律維持も重要な治療目標であるといえる.
2.心房細動の非薬物療法
発作性心房細動の予防は薬物療法によるものが一般的であるが,薬剤抵抗性の症例は少なくなく,また経年的経過観察の間には有効であった薬剤が無効となる場合もある2).非薬物療法としてはMaze手術やその変法などの外科手術の有効性が報告されているが,その適応は手術適応となる合併症を有する症例に限定されており,再発も20〜40%認められている3).発作性心房細動に対するカテーテル焼灼の試みは,当初心房細動の発生基盤を減少させる目的でMaze手術に準じた多数の線状焼灼が行われていた4).しかし,その効果が不十分なだけではなく,多数の連続焼灼巣を形成する技術的な困難さや,左房焼灼時の塞栓症発生などの問題から一般的治療とはなり得なかった.右房の一部(心房中隔や三尖弁輪—下大静脈間の解剖学的狭路)に限定した焼灼が発作予防に有用であったとする報告もあるが,その有効性は特殊な症例に限定されると考えられる5).
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