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Current Opinion
特発性肺線維症—病態生理と治療を中心に
Current Opinion on Pathophysiology and Treatrnent of Idiopathic Pulmonary Fibrosis
前田 晃宏
1
,
石岡 伸一
1
Akihiro Maeda
1
,
Shinichi Ishioka
1
1広島大学医学部第二内科
1Second Department of Internal Medicine, Hiroshima University School of Medicine
pp.1049-1053
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902177
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特発性肺線維症をめぐる最近1年間の話題
特発性肺線維症(IPF)は,慢性進行性の経過をとる予後不良の疾患であり,わが国における特発性間質性肺炎(IIP)の慢性型とほぼ一致する疾患概念である.このたび,ATS(American Thor—acic Society)およびERS(European Respira—tory Society)からIPFの診断と治療に関するInternational Consensus Statementが発表された1).本報告は,これまでの様々な研究成果を踏まえて,原因不明ということでひとまとめにされてきた間質性肺炎・肺線維症の疾患概念を改めて整理すると同時に,なかでも最も予後不良なUIPに焦点をあてて,現時点での診断や治療,これからの展望について述べている.これによると,IPFは組織学的にUIPを呈する疾患とされ,これまでIPFの範疇で論じられてきたDIP,AIPそしてNSIPについては,IPFから除外すべきだとされた.そして,IPFをより正確に診断するための臨床診断基準が提示された.
IPFの病態は,何らかの原因により肺胞隔壁の炎症が生じ,肺胞上皮,毛細血管内皮が傷害され,その修復過程において過剰な線維芽細胞の増殖や細胞外基質の沈着が起こり線維化が進行すると理解されている.その過程でサイトカインをはじめとする様々なケミカルメディエーターの関与が明らかにされており2,3),そのなかにはIL−84)やMCP−15)のように疾患活動性のマーカーとして期待されているものもある.また,組織傷害におけるアポトーシスの関与が報告され注目される6).
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