Japanese
English
Bedside Teaching
喘息患者の手術
Perioperative Management of Patients with Bronchial Asthma
坂梨 祐司
1
,
野中 雅子
2
,
須加原 博一
3
Yuji Sakanashi
1
,
Masako Nonaka
2
,
Kazuhiro Sugahara
3
1熊本大学医学部麻酔科
2済生会熊本病院麻酔科
3琉球大学医学部麻酔科
1Department of Anesthesiology, Kumamoto University School of Medicine
2Department of Anesthesiology, Saiseikai Kumamoto Hospital
3Department of Anesthesiology, Faculty of Medicine, University of the Ryukyus
pp.1035-1040
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902175
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はじめに
気管支喘息患者は近年増加傾向にあり1),喘息患者の手術は珍しいものではない.われわれが行った熊本大学付属病院における麻酔症例の調査2)でも,1979年1月からの5年間では喘息の有病率は2.2%,1990年7月からの5年間では有病率は2.5%であり,わずかではあるが増加していた(表1).
近年,喘息が単なる気管支平滑筋の可逆的収縮だけではなく,慢性的な気道炎症による器質的変化が基盤にあることがわかってきた.喘息の病態解明の進歩に伴って,気管支拡張薬中心から吸入ステロイドなど抗炎症薬を併用したより適切な周術期管理が行われるようになり,術中に重篤な合併症を起こすことは少ないように思える.しかし,手術に対する精神的不安,麻酔や手術操作などによる物理的刺激や自律神経系の異常など多数の喘息誘発因子の関与を考慮すると,喘息は依然として周術期管理上,注意を要する疾患であり,一旦重篤な発作を起こせば生命にかかわるような事態に陥る危険性があることを十分認識したうえで手術計画を立てることが重要である.
本稿では,喘息患者の手術に際しての周術期管理上の注意点,問題点を中心に解説する.
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