特集 難治性喘息—なぜこの喘息患者はよくならないのか?
序文
難治性喘息—なぜこの喘息患者はよくならないのか?
福永 興壱
1
1慶應義塾大学医学部呼吸器内科
pp.492-493
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.243232680730040492
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本号『呼吸器ジャーナル』第73巻第4号の特集は「難治性喘息—なぜこの喘息患者はよくならないのか?」をテーマに企画いたしました.喘息治療はガイドラインの整備や新規治療薬の登場によって大きく進歩してきましたが,依然として一部の患者さんではコントロール不良が続き,日常診療の場で医師を悩ませています.とりわけ若手呼吸器内科医や後期研修医にとっては,喘息標準治療である吸入療法を適切に行っているにもかかわらず改善を示さない症例への対応が大きな課題となっています.本特集は,こうした「なぜ,よくならないのか」という疑問に正面から向き合い,病態の理解から診断,治療戦略,合併症や特殊症例への対応に至るまで,多角的に検討する内容といたしました.
まず第Ⅰ章では,難治性喘息の本質に迫ります.気道リモデリングや炎症メカニズムといった喘息の病態理解は,治療抵抗性を読み解くうえで不可欠です.続く第Ⅱ章では診断アプローチを取り上げ,診断フローチャートや誤った診断を避けるための実践的なスキルを提示しています.喘息と類似疾患の鑑別は時に難しく,診断の精度向上が治療成績に直結します.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.

