Japanese
English
綜説
呼吸器疾患におけるQuality of Lifeとその評価
Quality of Life Measurement in Pulmonary Diseases
西村 浩一
1
,
月野 光博
1
,
羽白 高
2
Koichi Nishimura
1
,
Mitsuhiro Tsukino
1
,
Takashi Hajiro
2
1京都大学大学院医学研究科呼吸器病態学・京都大学医学部附属病院呼吸器内科
2神戸市立西市民病院呼吸器内科
1Department of Respiratory Medicine Graduate School of Medicine Kyoto University
2Department of Pulmonary Medicine, Kobe Nishi City Hospital
pp.1025-1033
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902174
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はじめに
わが国では,Quality of Life(QOL)という言葉は,イメージに対する抽象的な用語として使用されているのが現状である.これに対して,欧米では,早くからQOLに関する科学的研究が体系的に積み重ねられてきた.例えば,“QOLを高める治療である”と言えば,“何を使ってQOLを評価した結果であるか?”と問われるように,QOLとは尺度を使用して測定するものであるという共通した認識が出来上がっている.
QOLの評価に関する研究は,慢性疾患患者を対象とした研究を中心として展開されているが,多くの慢性疾患のなかでも呼吸器系疾患はQOLの評価についての研究が最も盛んに行われている1〜4).高血圧や糖尿病などと比較すると,COPDや喘息などの患者では,透析中の腎不全患者とならんで病気により日常生活が強く影響を受けQOLが高度に障害されている.また,呼吸器疾患では,COPDをはじめとして,長期間の進行性疾患が多く,一般に生存時間の延長のみが患者ならびに医療サービスの目標とはならないことがある.慢性の呼吸器疾患患者においては,QOLの障害を評価することに対するニーズが大きく,また,実際にQOL評価におけるモデル的な疾患でもあったということが可能である.
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