Japanese
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特集 右心不全をめぐって
右心不全と神経体液性因子
The Potential Role of Neurohumoral Factor in Right Ventricular Failure
木内 要
1
Kaname Kiuchi
1
1日本医科大学付属病院第一内科
1First Department of Internal Medicine, Nippon Medical School
pp.999-1003
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902170
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はじめに
Guyton1)は,心不全を①心拍出量の低下,②左房圧の上昇と肺うっ血,③右房圧の上昇と体静脈のうっ血,を来す状態と定義した.心不全の成り立ち,病態の理解のためにいくつかの分類がなされている.臨床的に心不全の主たる原因が右心系にあるとき右心不全と呼び,左心系にあるときに左心不全という.右心不全は全身の静脈や毛細血管圧の上昇やうっ血の症状や微候を,左心不全は肺静脈や毛細血管のそれを基準として判断する.
右心不全は一次的には右室の心筋傷害,肺循環障害,僧帽弁狭窄などの結果として生じる.一方,二次的に生じるものとして僧帽弁逆流,大動脈弁疾患,拡張型心筋症,虚血性心疾患などの左心不全に続発する場合がある.
右心不全の最も多い原因は左心不全に続発する場合である.左心不全がなぜ右心不全を引き起こすかについては,左心不全の結果生じた肺高血圧による右室への後負荷増大が考えられる.さらに,左心不全による左室,左房の拡大があると,すべての心房,心室は共通した心膜で覆われているため,障害のない側の右室,右房も中隔,心膜を介して圧排を受けるという,いわゆる心室干渉が生じる.また,左右の心室を構成する心筋線維が連続的に連結されていることより,一方の心室が障害されれば他の心室まで及ぶことなどが考えられる.
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