今月の主題 呼吸不全—その実態と治療
治療
右心不全の対策
岩崎 栄
1
Sakae Iwasaki
1
1前:国立長崎中央病院
pp.414-415
発行日 1983年3月10日
Published Date 1983/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218185
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肺疾患由来の右心不全の成立
慢性肺疾患ことに慢性閉塞性肺疾患は主として肺胞性低換気にもとづく血液ガス異常によって肺高血圧を招来する.すなわち,肺胞性低換気は肺胞気中のO2分圧を低下させ,CO2分圧を上昇させる.かかる呼吸不全状態では,肺胞から肺毛細血管へのO2の移行や血液から肺胞気へのCO2の排出が障害される.このような低酸素血症は主に循環系に影響を及ぼし,肺血管の攣縮,循環血液量の増加,赤血球増多,心拍出量増大をきたし右室仕事量が増大する.かくして右室肥大へと進展し肺性心が形成されるわけであるが,このような状態になれば,気道感染などの因子により容易に右心不全に陥る(図).
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