今月の主題 心不全の動向
心不全の病態
急性右心不全
高畠 豊
1
1東京大学医学部・第2内科
pp.204-205
発行日 1981年2月10日
Published Date 1981/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217027
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右心機能
右心不全とは,右室の前負荷(静脈還流の増大)・後負荷(右室流出抵抗増大)の過重,右室心筋収縮能の低下あるいは右室充満の障害により,右室後方,すなわち全身静脈系のうっ血と臓器の需要に対して十分な心迫出量が維持しえなくなる状態である.しかし一方,有名なStarrの実験,すなわちイヌの右室全面を焼灼しても,心迫出量や血圧が維持され,心機能の低下がみられないという事実,あるいは先天性三尖弁閉鎖症に対する右房と肺動脈を吻合し,右室をbypassするFontan手術などから見ると,右室の生体における必須的役割については,なお不明の点も多い.
臨床的・実験的にみると,左室と右室とでは負荷の増大に対する反応,すなわち心室容量の拡大,心室拡張終期圧の上昇,心室壁の肥厚など両者の間には基本的な相違はない.
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