Japanese
English
特集 酸化ストレスと心血管病態
酸化ストレスの予防と対策
Oxidative Stress and Antioxidant Defenses
黒木 昌寿
1
,
川上 正舒
1
Masatoshi Kuroki
1
,
Masanobu Kawakami
1
1自治医科大学附属大宮医療センター総合医学第一講座
1Department of Internal Medicine, Jichi Medical School, Omiya Medical Center
pp.789-794
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902138
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はじめに
地球上のほとんどの生物は,酸素を利用した好気性代謝により効率よくエネルギーを産生し生命を維持している.しかし,このエネルギー産生の過程で生成される活性酸素やフリーラジカルは,活性が高く蛋白質や脂質の変性,核酸の断裂などを起こし細胞の機能を障害する.また,活性酸素やフリーラジカルは種々の遺伝子の発現やアポトーシスを誘導し,老化,炎症,発癌,動脈硬化,虚血再灌流障害など多くの病態に関与することが知られている(表1)1).生理的状態では,組織や細胞内の活性酸素やフリーラジカルの量はその産生機構と消去機構(抗酸化物の生成や摂取)のバランスにより巧妙に調節されているが,活性酸素やフリーラジカルの過剰な生成や消去機構の障害は酸化ストレスの増加をまねく.したがって,このような活性酸素やフリーラジカルの作用に拮抗しうる抗酸化物質は,生体反応の制御や疾病の治療,予防に有効利用できる可能性が高い.
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