今月の主題 酸化ストレス
巻頭言
酸化ストレスと疾病・老化予防
越智 宏倫
1
Hirotomo OCHI
1
1日研フード(株)日本老化制御研究所
pp.235-236
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904701
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日本を初めとする先進国においては,高齢化が急速に進み,医療費の増大が国・企業の負担を重くし,国民の生活をも脅かしている.これらの課題を解決するためには,中高年者の健康寿命をさらに延長する必要がある.そして,できれば今の社会制度を漸次変更して,能力があり健康な中高年者の活用をすることによって,活力のある社会を構築することが必要である.現在のように,健康で社会的に寄与できる人を本人の意思とは無関係に,一律に,60歳定年という形で一方的に閉め出しているのは,社会的損失であり,無理があると思われる.また,早い人では,40歳代で,高血圧・糖尿病・動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中・痴呆といった生活習慣病にかかり,こういう人々を営利を目的とする企業では雇用することは難しいと思われる.そういう面で,こういった病気が顕在化する前の未病の段階で対策をとり,健康寿命の延長をすることにより,快適加齢・生涯現役の人を増やすことが輝ける未来のある希望の国日本を作るために必須の条件となる.
現在,癌をはじめ上述のような生活習慣病の90%以上は,活性酸素やそれに由来するフリーラジカル・過酸化脂質などによる酸化ストレスが発症の要因になっていることが明らかである.近年,遺伝子解析が進み,高血圧など生活習慣病になりやすい遺伝的素因の存在が知られるようになったが,たとえ遺伝子素因があっても,生活習慣をコントロールすることにより,発症を予防できることもわかってきている.
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