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特集 大気環境と肺疾患
大気汚染物質による気道傷害と細胞死
Airway Injury and Cell Death Induced by Air Polluntants
滝沢 始
1
Hajime Takizawa
1
1東京大学医学部附属病院検査部
1Department of Laboratory Medicine, University of Tokyo, School of Medicine
pp.667-672
発行日 2000年7月15日
Published Date 2000/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902119
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はじめに
大気汚染は,かつてのSO2を主体とする汚染と慢性気管支炎,気管支喘息との因果関係の認定から,環境基準の設定と各種の汚染対策が実行され効果をあげてきた1).しかし,近年わが国を含む先進諸国において気管支喘息やアレルギー性鼻炎などの呼吸器疾患が増加しており,NOxや粒子状物質の影響が問題とされるようになってきた2).これらはいずれも,ディーゼル車からの排出が重要な部分を占めることからその影響が懸念されている1).アメリカ合衆国では,いくつかの大規模な疫学調査結果をもとに,従来のPM10(粒径10μ以下の微粒子)に加えPM2.5(粒径2.5μ以下の微粒子)の規制に踏み切った.
本稿では,こうした大気汚染の実状を背景に各方面から進められている研究のうち,大気汚染物質が気道に与える影響,特にその細胞傷害と細胞死について述べる.
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