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大気汚染
鈴木 武夫
1
,
輿 重治
1
1国立公衆衛生院労働衛生学部
pp.1-13
発行日 1955年7月15日
Published Date 1955/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201572
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1.はしがき
昭和29年暮より昭和30年の春にかけ,新聞紙上にはスモツグ(Smog)という新語が表われ,しばしばスモツグに包まれた都市の写真が紙上をかざり,あたかも都市の冬季の一風景であるかの如き感を呈した。時を同じくして大気汚染の問題が一般人の関心をひいた様である。ところが春来ると共に,その関心は再び雪の如く消えて無くなりつつある。しかし,大気汚染の問題は冬季のスモツグで代表される現象のみをいうのであろうか。
都市は工場と交通機関と多数住民の住宅がひしめきあつている。夫々の目的に応じ活動し,そのエネルギーを消費し,何等かの生産を行い,その生産にともなう廃棄物を空気中に水中に土中に捨てている。そして自然の浄化作用に,その最後の運命をたくしている。然し自然の浄化作用は強力ではあるとしても,その強さは無限のものであろうか。
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