Japanese
English
特集 大気環境と肺疾患
大気汚染と免疫・炎症反応
Effects of Air Pollution on Human Immune Response
阿部 信二
1
,
滝沢 始
1
,
工藤 翔二
2
Shinji Abe
1
,
Shoji Kudoh
1
,
Hajime Takizawa
2
1日本医科大学第四内科
2東京大学医学部附属病院検査部
1Fourth Department of Internal Medicine, Nippon Medical School
2Department of Laboratory Medicine, The University of Tokyo, School of Medicine
pp.673-677
発行日 2000年7月15日
Published Date 2000/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902120
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はじめに
わが国を含む先進諸国において気管支喘息やアレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患が増加しており,その原因が多方面で追求されている.大気汚染はそのなかでも最も重視されているもののひとつであり,各種の汚染物質の規制にもかかわらず,これら疾患はむしろ急増している.アメリカ合衆国では大気中の粒子状物質の規制に関して,従来のPM 10に加えて,1997年からPM2.5の規制に踏み切っている.わが国においても1999年には川崎公害訴訟が和解となり,本年1月には尼崎公害訴訟で,一定限度を超える排ガス有害物質の差し止め判決が下されたが,大気汚染物質による健康影響が深刻な社会的問題となりつつある.
本稿では大気中の浮遊粒子状物質(suspendedparticulate matter:SPM),特にディーゼルエンジンから排出されるディーゼル排気微粒子(diesel exhaust particle:DEP),二酸化窒素(NO2),オゾン(O3),二酸化硫黄(SO2)について免疫・炎症反応を中心として生体に及ぼす影響について述べる.
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