Japanese
English
特集 非侵襲的陽圧換気法(NPPV)の汎用性をめぐって
呼吸器系慢性呼吸不全の長期療法
Long-term NPPV in Patients with Chronic Respiratory Failure
坪井 知正
1
,
青山 紀之
2
,
町田 和子
3
Tomomasa Tsuboi
1
,
Noriyuki Aoyama
2
,
Kazuko Machida
3
1国立療養所南京都病院呼吸器科
2総合病院南生協病院呼吸器科
3国立療養所東京病院呼吸器科
1Department of Res-piratory, National Minami-Kyoto Hospital
2Department of Respiratory, Minami-Seikyo Hospital
3Department of Respiratory, Tokyo National Hospital
pp.17-25
発行日 2000年1月15日
Published Date 2000/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902023
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はじめに
高炭酸ガス血症を伴う慢性呼吸不全に対する長期人工呼吸療法は,従来,主として侵襲的な方法である気管切開口よりの陽圧人工呼吸が行われてきた.しかし,気道感染を生じやすく多大な介護を要するため,在宅への移行は困難なことが多かった1).また非侵襲的方法である胸郭外陰圧式人工呼吸(Chest Negative Pressure Ventilation)は,夜間排尿時の装置の着脱の面倒さや換気効果の不確実性のため,さらには施行中に上気道の閉塞を生じることがあるため,COPDの気胸時の換気補助などの限られた状況下でのみ有用性を発揮している2,3).一方,非侵襲的陽圧換気法(Non—invasive Positive Pressure Ventilation;NPPV)は非侵襲的であり,かつ操作が簡便であるため在宅での長期人工呼吸に適しており,1980年代半ばから欧米を中心に広まり,わが国においても平成10年度より在宅人工呼吸療法の一手段として保険点数化されたことも手伝って,近年急速に普及してきている4〜14).なお,長期在宅人工呼吸としてのNPPVの有用性は仏英および本邦の長期調査4〜6)により実証されている.
本稿では,まず,約7年間の気管切開での呼吸管理後に気切口を閉鎖しNPPVを導入した肺結核後遺症の自験例を紹介し,次に1998年11月までに集計しえた長期人工呼吸療法としてNPPVを導入した102例の臨床経過を報告する.また,慢性呼吸不全に対する長期NPPV療法の開始時期に関しても考察する.
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