Japanese
English
Bedside Teaching
心筋バイアビリティの核医学的評価
Myocardial Viability and Nuclear Medicine
三ツ浪 健一
1
Kenichi Mitsunami
1
1滋賀医科大学医学部附属病院メディカル・コーディネーション・センター総合診療部
1Department of General Medicine, Medical Coordination Center, Siga University of Medical Science
pp.485-489
発行日 1999年5月15日
Published Date 1999/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901896
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はじめに
冠動脈疾患心筋においてハイバーネーション(hibernation)やスタニング(stunning)が起こることが示されて以来,心筋が生存しているのかどうかを壁運動のみから評価することは困難であることが明らかとなった.これらのうち,スタニングは短時間の一過性の強い虚血が解除されたにもかかわらず心機能の回復が遅れる現象で,この発生機序には再灌流時のcalcium overloadやfreeradicalが重要であることが動物実験で確認されている.通常のスタニングは比較的短期間のもので,長くても再灌流後1〜3週間で壁運動異常は回復することが多いため,心筋バイアビリティ(viability)の評価に大きな困難をもたらすことは比較的少ない.
一方,ハイバーネーションは可逆的ではあるが慢性に続く壁運動異常で,慢性冠動脈疾患における心筋バイアビリティの評価が困難となるのは多くはこれによる.その困難性の理由をつきつめると,ハイバーネーションの発生機序がまだ確定されていないために,基本的にどのような心筋を検出すればよいのかが不明瞭であることにたどりつく.
そこで本稿では,まずハイバーネーションの病態生理学的機序についての最近の知見について述べる.ハイバーネーションの適切な動物実験モデルは確立されておらず,その病態生理の検討にはpositron emission tomography(PET)などの核医学的手法が大きく貢献してきた.その後に,心筋バイアビリティの核医学的評価の実際について述べることとする.
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