Japanese
English
特集 肺疾患と細胞内シグナル
肥満細胞の活性化—細胞内シグナル伝達を中心に
Activation of Mast Cells
木村 輝明
1
Teruaki Kimura
1
1昭和大学医学部第一内科
1First Department of Internal Medicine,Showa University School of Medicine
pp.885-891
発行日 1999年9月15日
Published Date 1999/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901958
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はじめに
アレルギー性炎症,特に即時型アレルギー反応において肥満細胞が中心的役割を果たしていることはよく知られたことである1).肥満細胞は1877年にドイツのPaul Ehrlichにより発見され,異染性(メタクロマジー)を呈する顆粒を持った組織中の細胞として発見された2).また,同時に発見され,血液中に存在する肥満細胞に類似の細胞は好塩基球と命名された.かつて好塩基球は肥満細胞の循環型前駆細胞,あるいは肥満細胞が組織好塩基球である,と考えられていた.ともに骨髄の多分化能性のCD 34+前駆細胞から発生するものの,現在では,その分化過程は全く異なるものであることがわかっている3〜5).
肥満細胞はほとんど全身性に分布し,必ずしもアレルギー性炎症の形成だけのために活性化するのではないが,本稿においては即時型アレルギー反応を引き起こすための肥満細胞の活性化について,細胞内シグナル伝達を中心にして解説する.
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