Topice Respiration & Circulation
慢性閉塞性肺疾患と好酸球
永井 厚志
1
1東京女子医科大学第一内科
pp.935-936
発行日 1997年9月15日
Published Date 1997/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901561
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■最近の動向 好酸球はアレルギー疾患の末梢血や組織中に多くみられ,呼吸器疾患では慢性気道炎症として理解されるようになった気管支喘息の病態増悪において主役を演じていると考えられている.一方,気管支喘息と同様に呼気閉塞を主病態とする慢性気管支炎や肺気腫では,疾患発生の原因や病態増悪に喫煙が関与していることは多くの研究から明らかとなっているが,病態形成機序の中心である炎症についての詳細は不明のままとなっている.
近年,慢性気管支炎や肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患における好酸球に焦点をあてた論文が散見されるようになった(Am J Respir Crit Care Med 150:1646, 1994 & 151:635, 1995).これらの研究では,いずれも気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患の違いが如何なる点にあるかを解明することや,その成績からそれぞれの疾患の治療法を確立することが目的となっている.この気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患との病態成立機序に関しては1960年代のDutch hypothesisにまで遡ることができる.この仮説では,素因が基本となり傷害因子が加わることにより,その後喘息や慢性閉塞性肺疾患といった種々の疾患として表現されるようになると説明されている.この仮説は,対立するBritish hypothesisにより長く看過されてきたが,1990年代に至り再びその重要性が認識されている(Eur Respir J 4:479,1991).
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