巻頭言
プロフェショナルフリーダム
笠貫 宏
1
1東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所循環器内科
pp.533
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901701
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厚生大臣の定める「施設基準に係わる届出に関する取り扱い」について,その一部改正が発表された.循環器領域で注目されるのは「経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルによるもの)の施設基準」である.ここでは,その内容の是非を論じるのではなく,その本質について考えてみたい.なぜなら,そこには医療行為の本質と医師の関わり方の本質の問題が含まれているからである.
第1に,医療行為は元来,外科手術はもちろん注射投薬も患者の身体に対する強圧的攻撃的行為であり,その身体の完全性を害する重大な侵害行為であり,外形的には刑法第204条いわゆる傷害罪に該当する行為とも言われる.しかし,それは医療行為の本質であり,それを適法かつ有効な業務行為とする法的根拠として違法性阻却説や構成要件該当説など種々の学説が存在する.そこに医師は一般社会通念における医療行為の位置づけを見出すべきである.医師はこの医療行を業とし,かつ医業を独占(独占業務)しているという重大性を認識することが必要である.
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