Japanese
English
特集 慢性心筋炎—診断のガイドライン提示とその後の展開
急性心筋炎によって惹起された免疫応答とその推移
Immune Response following Acute Myocarclitis
松森 昭
1
Akira Matsumori
1
1京都大学医学研究科循環病態学
1Department of Internal Medicine, Kyoto University Graduate School of Medicine
pp.457-462
発行日 1998年5月15日
Published Date 1998/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901688
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はじめに
急性心筋炎は多種のウイルスによって発症すると考えられているが,ヒトでは特にRNAウイルスが多く,ピコルナウイルス群のなかでもエンテロウイルス,特にコクサッキーウイルスはウイルス性心筋炎を来す最も頻度の高い原因と考えられてきた1〜4).しかしながら,これらのウイルスのなかで心臓から分離きれたものはごく少数で,通常,血清学的診断や心臓以外からのウイルス分離により診断されたものが多く,直接的な証明が行われたものは少ない.
一方,ピコルナウイルスによる心筋炎の研究の多くはマウスによるコクサッキーB3ウイルスおよびencephalomyocarditis(EMC)ウイルス性心筋炎モデルを中心に行われてきた.これらの実験モデルにおいては心筋内のウイルス増殖は,ウイルス接種3〜5日後に最高となるが,その後減少し,感染後2週以降は感染性ウィルスは検出されなくなる.心筋細胞の壊死は細胞浸潤の明らかになる以前から出現しウイルスによる直接作用と考えられるが,その後も持続する炎症反応によって心筋細胞障害が発症するかについて議論が行われてきた.
本稿では急性心筋炎,特にウイルス性心筋炎にみられる免疫応答について述べる.
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