巻頭言
圧受容体と容量受容体をめぐる問題
木川田 隆一
1
1北里大学医学部内科
pp.527
発行日 1992年6月15日
Published Date 1992/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900483
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最近,循環調節に関する概念に次々と新しい知見が加えられ,それにつれてその用語にも混乱を生じだしているように思われる.例えば圧受容体反射,容量受容体反射が然りであろう.圧受容体については,かなり以前から,その適刺激が受容体の伸展にあるゆえに圧受容体と言う用語を避けて,baroreceptor=伸展受容体とする傾向が現れだした.一方,容量受容体の概念は曖昧のまま使用されていたけれども,これも圧受容体の概念と共に整理する必要性にせまられている.
元来,容量受容体は心房や肺脈管領域の低圧域に分布すると考えられてきた.その後,心房に存在し容量を調節する心房性ナトリウム利尿ホルモンが発見されたが,この受容体の適刺激は心房の伸展であるゆえ,これは容量を調節する役割を担うけれども伸展受容体とみなすことができ,圧受容体を伸展受容体と置きかえるとおかしなことになってしまう.
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