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■最近の動向 気管支喘息患者の症状に周期性のあることは古くから知られていた.月経前に症状の増悪するような概月変動や,夜間に咳・喘鳴あるいは息切れによって目が覚めたり,胸部圧迫感などを感じる概日リズム(Circadian rhythm)などが特徴の一つにあげられている.喘息患者ではpeak flow(PEFR)は朝に低くなり,特にNocturnal asthmaでは午前4時頃に発作がみられることが多い.概日リズムには様々な誘因があげられている.Martinは,①夜間のコーチゾルの低下,②エピネフリンの低下,③炎症の増強,④迷走神経の緊張,⑤体温の低下などが原因であるとまとめている(Nocturnal Asthma,Futura Publishing Co.,1993,p71).一方,Postmaらは夜間喘息患者は非夜間喘息と比べ循環血中好酸球数は増加しているが,気管支洗浄液中の好酸球数や活性化指標,ヒスタミン,炎症性伝達物質には差はみられず,夜間喘息はより重症な喘息でありasthma with noctur—nal symptomであると述べている(Am J Respir Care Med 150:S83,1994).夜間喘息の病態についてはまだ議論の多いところではあるが,近年,夜間喘息に対して時間概念を取り入れた時間治療法(Chronotherapy)が行われている.これは生体リズムに合わせ,必要なときに必要な治療を行い,合理的で副作用を軽減することを目的とした治療法である.気管支喘息に対するChronotherapyについて,時間概念を取り入れた経口ステロイド薬,吸入ステロイド薬およびテオフィリン薬の夜間喘息に対する治療を紹介する.
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